Cold Process熱を加えず、時間をかける
mueの石鹸は、油脂とアルカリをゆっくり反応させる、コールドプロセス製法でつくっています。熱を加えれば早く進む反応を、常温のまま待つ製法です。このページでは、そのわけと、実際のつくり方をお伝えします。
熱を加えないのは、うるおいを残すため。
石鹸は、油脂をアルカリと反応させてつくります。熱を加えれば、反応は早く、均一に進みます。そのかわり、原料に含まれる天然由来の成分が失われやすくなります。
コールドプロセス製法は、この反応を常温か、それより低い温度で進めます。時間はかかりますが、原料の持ち味が損なわれにくい製法です。
油脂がアルカリと反応して石鹸になるとき、グリセリンが一緒に生まれます。この製法にはグリセリンを取り出す工程がなく、生まれた分がそのまま石鹸のなかに残ります。
残すものが、もうひとつあります。mueの石鹸は、油脂の約5%を石鹸にせず、油脂のまま残るように配合を設計しています。
残ったグリセリンと油脂が、洗い上がりのしっとりとした感触につながります。
選んだオイルの持ち味を、そのまま石鹸に。
植物のオイルには、それぞれ個性があります。どの植物の、どの部位から採るか。どんな土地と気候で育ったか。それによって油脂の成分が変わり、洗い上がりの感触も変わります。
わたしたちは数十種類の植物オイルから、肌の状態に合わせて選び、独自の比率で組み合わせています。熱を加えないのは、選んだオイルの持ち味を、つくる途中で失わないためでもあります。
ここからは、実際のつくり方です。ひとつの石鹸ができるまで、ひと月ほど。スクロールしながら、順にご覧ください。
1日目
配合して、枠に流し込む。
油脂とアルカリを合わせ、ゆっくり混ぜると、反応が始まります。生地にとろみがついたら、木の枠に流し込んで固めます。「枠練り」と呼ぶつくり方です。
色と模様は、生地が石鹸に変わっていく途中で描きます。描いているあいだにも反応は進み、生地は固まっていきます。だから、枠はひとつずつ順に仕込みます。
2日目
ひとつずつに、切り分ける。
枠のなかで反応が進み、生地はひと晩で締まっていきます。切り分けるのは、流し込みから1〜2日のうちです。それを過ぎると固くなり、切り口が荒れてしまいます。
締まり方は、その日の気温と湿度で変わります。頃合いの見きわめは、職人の経験に頼ります。
3日目
面取りをして、かたちを整える。
切り分けた石鹸は、ひとつずつ手に取り、表面を薄く削って磨きます。模様がきれいに見えるように、面を出す。それから角を丁寧に落として、手のなかに収まるかたちに整えます。
ミリ単位で調整する、細やかな作業です。
4〜24日目
3週間、熟成させる。
面取りを終えた石鹸は、まだやわらかく、アルカリも強い状態です。ここから3週間、並べて寝かせます。
鹸化(けんか)が終わり、水分が抜けて、石鹸として仕上がっていく時間です。
1週目
水分が少しずつ抜けて、石鹸が締まっていきます。締まるほど、溶け崩れにくい石鹸になります。
2週目
アルカリが落ち着いて、洗い上がりがおだやかになっていきます。
3週目
泡も肌あたりも整い、仕上がりが見えてきました。
25日目
ひとつずつ、検査する。
熟成を終えた石鹸を、ひとつずつ確かめます。色と模様、かたち、香り。手仕事なので仕上がりは石鹸ごとに違い、人の目と手で、全数を検査します。
29日目
包装して、最終確認をする。
検査を通った石鹸を包装します。包み終えたら、もういちど確かめて、出荷できるものを選びます。
アトリエを出ていくのは、この最終確認を通った石鹸だけです。
1日につくれるのは、40個から100個。
ひと枠からできる石鹸は、10個から20個。職人が1日に仕込めるのは40個から100個ほどです。
一度にたくさん仕込めないこと。その日の空気に合わせた細やかな判断が、工程のそこかしこに要ること。それが、この数の上限を決めています。大量生産には向かないつくり方です。
手間をかける理由。
一般的な加熱製法を採用すると、石鹸は早くたくさんつくることができます。それでもmueのアトリエでは、油脂とアルカリが常温で石鹸になるのを待ち、面取りのあとも3週間、寝かせます。寝かせているあいだの石鹸は、まだ商品になりません。
その間も、職人は次の枠を仕込み、前の枠を切り分け、面取りをしています。
毎日つかうものだから、少しだけいいものを。
一日の終わりに顔を洗う数分が、自分のための時間になればうれしく思います。
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